ゴールデンウイークの林道ツーリング↓でフロントホイールのスポークを折ってしまったので修理する。今まで自転車に乗ってきて初めてスポークを交換するので記録として残しておく。
スポークの選定と購入
基本的には折れたスポークと同じものを購入すればいいはずだがいくつか失敗。
スポークメーカはいくつかあるが、Amazonで物色すると中国製のものが多い。信頼性が高くて折れにくいスポークが欲しいのでまともなメーカ製にしたい。有名どころでは星、DT SWISS、SAPIMがあるらしい。
国産メーカを応援したいので星にすることにして、より折れにくいスターブライトを選択。
折れたスポークと同じ太さと長さを選定したつもりだったが失敗。ニップルの二面幅をニップル回しでチェックすると#14にピッタリだったので太さは#14(2.0mm)を選定したが、折れたスポークは#15(1.8mm)であった。ニップルの二面幅だけではスポークの太さは決まらないことが分かった。
スポーク太さを手持ちのデジタルノギスで計ろうとしたのだけど電池切れだった!
ちなみに、スポークの材質としてはステンレス、スチールなどがある。ステンレスでもいくつか種類があり、磁石にくっつかない通常のステンレスは折れやすいとのこと。鉄をまぜたステンレスのほうが折れにくい。スターブライトは後者のほう。
スポークは太くなったけどニップルも付属してきたので問題はない。まあ、太くなったことでより丈夫になった。
あと、もともと編まれていたスポークは少し長い。ニップルからスポークが突き出しているものがあることが発覚。そのうちチューブに穴が開きそう。。。
スポークの交換
フレームからフォークを抜いて振れ取り台の代わりにして作業開始。
まず、完成した車輪からスポークを一本だけ交換しようとすると、無理やり新しいスポークを通すことになる。こんなに曲げていいのかなあ?と思いながら無理やり通す。
そしてリムの裏側からニップルをねじ込む。
あとは、リムの振れを見ながらニップルを締めてスポークテンションを調整すればオーケー。
いずれはすべてのスポークを星スターブライトに交換したいんだけど、その時には振れ取り台が欲しい。今回の作業で振れ取り台を選定するポイントも大体わかった気がする。
- 振れ取り台の剛性は高いほうが良い。特に①ハブを取り付ける部分と、②リムの振れをチェックするためのゲージ針は一体となっていたほうが良いと思う。触るたびに①と②の位置関係がずれるとリム振れの確認がやりずらい。
- ゲージ針は手前にあったほうが良い。リム振れを見ながらニップルを締めていくので、ニップルを締める位置とゲージ針は近いほうがやりやすい。今回はフォークに針金でゲージ針を取り付けていたが、ニップル回しはフォークと反対側でやっていたので非常にやりにくかった。
- ゲージ針は容易に位置調整できたほうが良い。リム振れが収まってくるにつれてゲージ針をリム近くまで移動する必要がある。
- ゲージ針にライトを当てて見やすくしたい。振れが1mm以下になってくると見やすい環境にしないとつらい。
最後に歪んだ泥除けを修正して作業完了。
追記2019/5/13:試乗した感じ
乗り心地が良くなったように感じる。クルマで例えるとノーマル形状ストラットに車高短バネを組んでいた状態①から、ショートケースのストラットに固い直巻バネを組んだ状態②の差に近い。「固いんだけど底付き感がなく当たりが丸い感じ」と言えばクルマ好きにはわかってもらえるかなぁ?
もともとのホイールに編まれていたスポークのテンションが全体的に低下していたようで、今回のスポーク交換時にテンションを上げる方向で振れ取りを行ったことが良かったと思う。
自転車のホイールでは伸び側のスポークと縮み側のスポークの両方で荷重を支えている。静止状態では伸び側と縮み側のスポークが発生する引張り荷重(セット荷重)が釣り合ってハブを支え位置決めしている。ハブの荷重が増加すると伸び側のスポークはより大きな荷重を受け持ち、縮み側のスポークはセット荷重が低下することで伸び側のスポークを助ける。
ここで、スポークテンションが落ちた状態を考える。縮み側のセット荷重(初期スポークテンション)以上にハブの荷重が変動すると、もはや引張り側のスポークでのみ荷重を支えることになり、一気に荷重の負担が増加する。場合によってはスポークが折れる。この状態は上記①で、ダンパーのストロークを使い切ってバンプストップラバーに当たっているイメージに近い。正しくテンションを与えられたスポークでは縮み側スポークのセット荷重の範囲内でハブの荷重変動を受け止めることができる。これは②のように、ダンパーのストロークの範囲内で荷重を受け止めていると考えられる。バネは固いとしても非線形な変化はない。
あと、スポーク本数の多い少ないを考えてみると、スポーク本数が多いほうがスポーク1本当たりで受け止める荷重変動が少なくなるため、スポークテンションの設定幅が広くとれると考えられる。スポーク本数が少ないほどテンションは張り気味になり、そのテンション値の許容範囲は狭くなる。スポーク本数が多い場合、縮み側スポークのセット荷重を下回ることは少なくなるのでテンションを緩めることができる。この点で、ユーラシアのホイールのようにランドナー車に使われるスポーク数36本のホイールは緩み側から張り側までの許容範囲が広くセッティングの自由度が高いと考えられる。
暇なときにこれを図解して解説したうえで実験してみたい。イジクリ好きのクルマ好きの自転車乗りにはわかってもらえると思うなぁ。。。
主観的難易度:★★☆☆☆(スポークテンションメータが欲しいが、適当でよければ何とかなる。)
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