AT141:サスペンションの考察・・・共振周波数と位相遅れ

冬休みの自由研究としてスタートしましたが、すべてをまとめるには時間がかかるので現時点での検討状況をまとめておく。

まず、バネレートの最適値とはどのように考えたらよいのだろうか。
いろんな文献やネット情報を見ながら検討しつつ、サスペンションのレバー比の計測ができているので車両重量と前後バランスから基本中の基本であるバネ上の共振周波数を求めてみる。

まずスプリング1本当たりに載っているバネ上の質量を求めるために、クルマの質量をフロントとリアに振り分けないといけない。
車両重量の配分は車検証の前前軸重と後後軸重から知ることができる。ただし、車検証に記載の車両重量はガソリン満タンではあるが人間は乗車していないという条件なので、計算に使う質量には人間の質量とか追加部品の質量を加え、軽量化のために取り外した部品や剥がしたアンダーコートの重量などは差し引く。なお、追加部品や取り外した部品の前後バランスは前軸と後軸からのモーメント計算によって算出する。
ちなみに、ノーマル状態でのAT141コロナの前後バランスは前前軸重570kg、後後軸重540kgなので前:後=51.4%:48.6%とほぼ均等。FR車として理想的ではないでしょうか!

そして、計算した質量と、計測したレバー比から求めたホイール換算のバネレートを使ってバネ上共振周波数を計算すると下の数値が出た。
・フロント側=2.93Hz
・リア側=2.17Hz

う~む、運転しているときの感覚ではリア側の突き上げ感が強くてリア側のスプリングレートが固いと思っていたんだけど違っていたな。原因はダンパーの減衰力が強すぎであった。
あとで減衰力を最弱に調整したら非常に乗り心地が良くなったし、サスの動きが分かりやすくなった。必要以上にダンパーを固めても良いことはない。
ただしリア側ダンパー減衰力を弱めたことで過渡時の後ロール剛性が変わるので、サーキットを走ってみて様子を見る必要がある。場合によってはスプリングレートを見直しだ。
あと、前後の周波数の差が大きいのも気になっている。

さて、スプリングレートにしろダンパー減衰力にしろ、どうやって最適値を決めたらよいのかそれが問題だ。まだ、回答は出ていないが備忘録として以下に残しておく。

下の図はタイヤとボディの変位倍率と減衰比ζとの関係を比較したものだ。共振周波数=3Hzにピークを持つラインは減衰比=0.1、0.2、0.5の3パターンを記載している。それに対し比較として、共振周波数=1.5Hzで減衰比=0.2のラインを1本追加している。
ちなみに3Hzはコロナのフロントサスを、1.5Hzは一般的な乗用車を想定している。

減衰比を強めると共振周波数での変位倍率は抑えられるという当たり前の結果が分かる。ただし、共振周波数での変位をダンパーで抑えるのではあるが、減衰力をやみくもに高めるとそれ以外の周波数での倍率は上がってしまうので、適切な減衰力の設定が必要だ。
グラフの右の方は見切れているが、変位倍率<1の領域ではより減衰比が低いほうが変位倍率が小さくなり路面からの衝撃をより吸収できる。本稿では間に合わないが、追ってバネ下の共振周波数も計算した上でこの辺はさらに考察したい。
また、減衰比0.2における3Hzと1.5Hzの比較では、1.5Hzのほうが高い周波数での変位倍率が少なく、ギャップ乗り越えなどの道路からの衝撃は1.5Hzのほうが圧倒的に少ないことが推察される。

まあ、ここまでは当たり前と言えば当たり前の結果なのだが、検討途中だが「じゃあバネレートをいくつにすればいいのよ」という疑問に対しては、一つの要素として位相遅れがあると思う。

下の図は上の図と同じパターンで位相遅れを示したものだ。位相遅れは応答遅れと言っても良いし、そう言わなくても構わない、自分なりの言葉で解釈してほしい。
3Hzと1.5Hzの共振周波数を持つサスで減衰比0.2の場合を比較すると、例えば外からの入力が2Hzでの応答遅れは、共振周波数3Hzのスプリングレートの場合で‐27.7deg、同1.5Hzの場合は-148.6degと大きな差がついている。
ここでいう位相差は、サスペンションが正弦波の2Hzで伸び縮みする場合に、タイヤに対してのバネ上の変位が正弦波の角度に対して一方は-27.7deg遅れ、もう一方は-148.6degも遅れて動くということだ。

例えばハンドルを2Hzで動かした場合にボディが-148.6deg遅れて動いたら、、、サーキット走行などのスポーツ走行時にはリズムが合わず運転しにくいことでしょう。
これがスプリングレートを決める際に考える要素の一つと思う。実際にはもっといろんなことを考えないといけないが。。。

まあ、結局のところ最後には実走してバネレートやダンパー減衰力を決めることになるんだけど、上記のような理屈や自分のクルマの共振周波数を知っているのと知らないのとでは大きな差になると思うよ。

主観的難易度:★★★★☆(いろいろ考えるのは楽しい。)

<Summary for overseas visitors>

I have been riding an AT141 CORONA Hardtop that is an old Japanese car produced by TOYOTA. AT141 has the 4A-GE engine. I started a project making new 4A-GE. In this post, I took a note of records such as my thinking how to choice spring-rate or damping-rate.

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